EBMガイド

Evidence-Based Management Guide | Resources

エビデンスベースドマネジメント(EBM)について

EBMガイドでは、EBMの概念、要素、やり方についてのガイドを提供しています。ガイドでも書かれているようにガイドにあるやり方などを部分的に組織に取り入れることも可能です。すなわち部分的にもとても参考になります。しかしながら、部分的に取り入れた場合は、EBMと呼ぶものではないわけです。

EBMは、スクラムの透明性・検査・適応の3つの柱に対して、組織として、ビジネスとして、顧客の成果への価値としての概念にフォーカスがあたっており、「仮説・実験と計測・検査・適応」とこれらの透明性が重要になります。そのための要素がいくつか体系立てて追加されており、よりビジネスサイドが活用できる経験的プロセス制御になっていると感じています。

EBMガイドでは、2020年版より内容が刷新されており、「改善のカタ」を用いたモデルが採用されています。複雑で不確実な状況下では、正解となるゴールが明確であったり、変化しないことはありません。したがってその状況を受け入れた計画と進行を行なっていく必要があります。したがって、そのためのゴール設定の仕方(段階的なゴール設定)、状態の認識、小さく短い実験のサイクルが重要になってきます。

ゴールと実験のループ

  • ゴール設定:
    • ビジョン・ミッション
    • 戦略的ゴール
    • 中間ゴール
    • 即時戦術ゴール
  • 状態
    • 開始の状態
    • 現在の状態

「戦略的ゴール」は、組織が達成したい重要なものであり大きくて遠いものです。すぐに行き着くものでもないし、道のりがわかっているわけでもありません。したがって経験的に進んでいく必要があります。当然、設定した戦略的ゴールが間違っていたり、不正確であることも折り込んでおくことが重要です。

「中間ゴール」は、戦略的ゴールに向けた「中間」のゴールです。まだ不確実な部分はあるが、戦略的ゴール比べれば十分に仮説・検証可能ではあるはずです。

「即時戦術ゴール」は、中間ゴールに向けた重要な短期目標です。仮説・実験と計測・検査・適応の「実験のループ」を回して即時戦術ゴールの達成を目指します。仮説を設定(仮説)し、実験し、計測し、検査します。その結果から、即時戦術ゴール(さらに、中間ゴール、戦略的ゴールも)を適応させていきます。「戦略的ゴール」という大目標に対しても、開始の状態(初心)と現在の状態を把握することで方向性の確認、「戦略的ゴール」が適切かを検査と適応することもできます。

EBMのゴール設定と実験のループ

重要価値領域(KVA)

上記を理解し、実践したいと思っても、何をよりどころにするのかが明確でないと、絵空事や誰かの自己満足になってしまうかもしれません。そこで大切なのが、重要価値領域(KVA: Key Value Areas)です。これらの領域における明確な指標(重要価値指標 – KVM)により、実験のループを支援します。

  • 重要価値領域
    • 現在の価値(CV)
    • 未実現の価値(UV)
    • イノベーションの能力(A2I)
    • 市場に出すまでの時間(T2M)
EBM: 重要価値領域(KVA)

この4つはとてもバランスがとれており、市場価値と組織的な能力を意識・計測することができるわけです。

EBMガイドを日本語にも翻訳、Scrum.orgで公開

Scrum.org で公開されている「不確実な状況下での価値提供の向上」のためのガイド(2024年公開)が最新となり、日本語翻訳版も公開されています。EBMガイドは、日本語を含め、19の言語で提供されています(現在時点)。

EBMガイド
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エビデンスベースドマネジメントガイド

Evidence-Based Management (EBM) Guide

支援サービス

ホワイトペーパーを読んだ上で、「より詳しく理解したい」、「実践の中で身につけたい」といったご要望から、アジャイルコーチ(アジャイルストラテジスト)としての伴走支援、クイックスタートできる研修トレーニングのご要望を多くいただきます。有用だと思われるようでしたら、お気軽にご連絡ください。

翻訳者

長沢智治
DASAプロダクトマネジメント認定トレーナー
DASA DevOpsファンダメンタル認定トレーナー

長沢智治

2000年より開発プロセス改善コンサルタントやエバンジェリストとして活動しており、イベントでの基調講演を担当したり、書籍の執筆・監訳や記事の翻訳なども精力的に実施しています。DASA (DevOps Agile Skills Association) のアンバサダーであり認定講師でもあります。

長沢智治は、いくつもの Scrum.org 認定資格を取得しています。アジャイルリーダーシップの認定資格である PAL-EBM、PAL I は、組織的なアジャイル変革や、プロダクト戦略、ポートフォリオ戦略、ステークホルダーマネジメントなどの知見が認められました。その他、スクラムのスケーリング(SPS)、スクラムでのカンバンの活用(PSK I)、プロダクトオーナーやスクラムマスター(PSPO II, I, PSM II, I)の知見を認められています。また、DASA認定のアンバサダーであり、DASA認定資格試験の認定トレーナーでもあります。

PAL-EBM 認定について

EBMは、Scrum.org のアジャイルリーダーシップに関する認定資格である「Professional Agile Leadership – Evidence-Based Management」(PAL-EBM)が設定されているくらい重要な概念です。PAL-EBMは、2月時点で世界で310名程度しか取得していないものです。

代表の長沢は、PAL-EBMの認定資格を取得しており、今回翻訳した EBMガイドは、この資格を取得する上でもバイブルとなるものでした。英語のドキュメントをもとに、訳していたものがあり、それが今回の日本語翻訳版の公開にも役に立ちました。

PAL-EBMは、EBMを理解していたら取得できるかと言うとそうではありません。アジャイルリーダーシップとしての全般的なものを持ち合わせた上で、EBMに代表されるビジネス視点や目標設定、そして、複雑な組織や、複雑なプロダクト(プロダクトポートフォリオ)、顧客フォーカスについて広く深く理解しておく必要があるものでした(その点では、PSM I, PSPO I, PAL I を取得した上で挑むことを推奨します)。

エビデンスベースドマネジメント(EBM)認定証

また、Professional Scrum Product Owner II の認定資格(代表の長沢が資格取得済み)では、EBMの知識と理解も必要となります。PAL-EBMほど深く知識と理解を求められることはない印象でしたが、プロダクトオーナーとしての実践的なレベルが求められる PSPO II (PSPO III も) においても、EBMは必須であることから EBMの重要性と、日本語版翻訳の価値があると考えられます。

EBMの導入・実践支援

サーバントワークスでは、事業会社をはじめとした不確実で複雑な事業とプロダクト開発を行なっている企業に向けたエビデンスベースドマネジメントのご支援ならびに研修を承っております。弊社自身が実践している EBMであり、Scrum.orgの認定資格取得者でもある知見をお客様の事業で活かしてみませんか。

EBMクイックスタート研修

EBM伴走支援サービス

RSGTR2022での講演

Regional Scrum Gathering Tokyo 2022 にて、「プロダクトゴール」についての講演を代表の長沢が行いました。そこでも、プロダクトゴールをよりよくして、意味のあるものにするために、EBMの重要価値領域と重要価値指標、ゴール設定との関係について取り上げました。

BBT大学でのオンライン授業を提供

ビジネスパーソンのためのEBMとして提供をしました。

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