現場の”よい反応”の兆しは測りにくい
以前の投稿で改善を測る際に、定量的なものだけでなく、定性的なものにも着目すべきであるということを示しました。
その上で提示した図が以下になります。
改善を持続可能にする
今回は、継続的に改善していくためのお話しです。どんなによい取り組みでも、生産性が一旦落ち込むことを考慮しないといけないことは前回に述べましたが、期間が長い取り組みほど、これが顕著で持続させることが難しくなる傾向があります。
例えば、継続的に価値をデリバリーできる開発体制にする という取り組み目標だとした場合、それを実現するための見込みを立てられたとしても、それには、数ヶ月から数年かかるわけです。多くな目標ということはそこに至るまでにはさまざまな関係者との協力やプラクティスへの理解、ツールの調達も伴います。これらを加味して大きな実行計画を立てるわけです。
そもそも改善活動では、現状が十分に把握できていないことがほとんど です。すると大きな目標だと、ブレ幅も大きくなる傾向があります。
余談ですが、そこで 費用対効果 を持ち出しても十分な数値目標を提示することはやはり難しい所業となります。
持続可能にするための小さなステップ
持続するためには、目標を関係者でコンセンサスを取った前提で、小さな改善を繰り返し行うことが一つのアプローチとなります。前回に述べたように定性的な効果を大切にしながら、できるだけ落ち込みが少なく、効果のでる取り組みを見つけて小さくスタートし、小さな成果を得ていくアプローチです。
こちらの図は、クリックすると拡大できるようにしています。ここでの要点は、アドホックな取り組みではないことです。アドホックな取り組みには経営陣は理解も協力もしづらいです。コンセンサスのとれた目標に向かって、現場を見ながら定性的な評価を大切にし、定量的なデータを取れるように取り組みを行っていく選択肢は、「あり」なはずです。
最初に行う取り組みは見える化
取り組みの最初に行うべきは、「見える化」です。現場の把握です。現場では現場が見えづらい傾向があります。自分に見えている現場が、他の人の見えている現場と一致しているとは限りませんから、チームとして、事業としてのコンセンサスが本当にとれているのかをまず把握する必要があります。協力してほしいなら協力できるようにするのが先決です。ブーたれていてもなにも進みません。
まずは、現場を把握するために、、、で取り組んでみましょう。現場が少し見えてれば、より深く知る取り組みを2番目にもっていくこともできます。もしくは、見えた現場の課題に取り組むことができます。これらはより状況がわかっていますので、ひょっとしたら定量的な評価が可能になるかもしれません。そうやって、取り組んでいくと、負担を減らしつつ、関係者の理解と協力が得やすい環境になっていきます。
見えないのは、機会損失です。費用対効果以前の課題です。
本記事の執筆者:
長沢 智治 – アジャイルストラテジスト
サーバントワークス株式会社 代表取締役。Helpfeel Inc. アドバイザリーボード。DASA アンバサダー/認定トレーナー。
『More Effective Agile』、『Adaptive Code』、『今すぐ実践!カンバンによるアジャイルプロジェクトマネジメント』、『アジャイルソフトウェアエンジアリング』など監訳書多数。『Keynoteで魅せる「伝わる」プレゼンテーションテクニック』著者。
Regional Scrum Gathering Tokyo 2017, DevOpsDays Tokyo 2017, Developers Summit 2013 summer 基調講演。スクー講師。