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本記事は、「10 Best Product Backlog Tools For Backlog Management」の翻訳記事です。The Product Manager とのタイアップにより公開しています。
はじめに
プロダクト開発チームのメンバーは、それぞれの役割を果たしながら、ひとつひとつのステップを経て、マーケットに出せる完成したプロダクトを作り上げる。各チームメンバーがどの成果物を優先すべきかを知るために、プロジェクトマネージャーはスクラムチームと協力して TO-DO リストを作成する必要がある。この TO-DO リストは、戦略的なロードマップに基づいて作成されるもので、プロダクトバックログを構成する。
プロダクトバックログがなければ、ソフトウェア開発チームが優先的に取り組むべきアイデアを一貫して把握することは容易ではない。しかしながら、すべてのステークホルダーが同じページでプロダクトバックログを見ることができるようにするには、情報を中央のリポジトリで利用できるようにする必要がある。ここで、プロダクトバックログツールが重要な役割を果たすのだ。
この記事では、プロダクト開発チームにとって重要な重要な関心のある「バックログ管理に最適なプロダクトバックログツールとはなにか?」という質問に回答している。今回のようにツールを列挙すると、すべてのアジャイルチームに最適な特定のプロジェクト管理ツールがあるように読めてしまうがそうではない。しかしながら、チームによってワークフローや作業アイテムが異なるため、そうはいかないのだ。
プロダクトバックログ管理ソフトウェアを以下に列挙するにあたり、我々は、優れたツールの特徴と機能を強調することを目的としている。最適なプロジェクト管理ソフトウェアを決定するには、プロダクトオーナーのニーズと、プロダクト開発チームのタスク管理のニーズに依存している。
ベストなプロダクトバックログツール
これが、最適なプロダクトバックログ管理ツールのリストです。
- Hygger
- Microsoft Planner 【日本語版あり】
- Planigle
- Yodiz
- Backlog 【日本語版あり】
- Monday.com 【日本語版あり】
- Teamwork
- Clubhouse
- YouTrack by JetBrains 【日本語版あり】
- Productboard
プロダクトバックログのソリューション比較基準
プロダクトバックログに最適なツールを選出する際、何を基準にするだろうか?以下は筆者の評価基準である:
1. ユーザーインターフェイス(UI):
プロダクトバックログは膨大な量になることがある。そのため、プロダクトバックログアイテム(PBI)のどれが優先順位が高いのか、低いのかが一目瞭然であり、簡素でわかりやすいインターフェイスであるバックログ管理ツールを探すべきである。ガントチャートやカンバンボード(訳註: ヴィジュアルボードの意)など、さまざまなプロダクトプランニングのインターフェイスのオプションが望まれる。
2. ユーザビリティ
習得が容易であるかどうか。技術サポート、ユーザーサポート、チュートリアル、トレーニングなどが充実しているかどうか。ソフトウェア開発チームにとって、プロダクトバックログソリューションは、単に使いやすいだけではなく、アジャイル手法に対応できる、柔軟性を備えている必要がある。
3. インテグレーション
他のツールとの連携が容易かどうか。チームのコラボレーションを促進するような予め組み込まれた統合機能があるかどうか。ツールの API により、Excelや、Trello、Google Drive、GitHub、Slack などの他のツールと連携をどの程度サポートしていて、価値のあるメトリクスをリアルタイムで提供できるのかどうか。
4. 適正価格
ユーザー機能、能力、使用例に対して価格がどれくらい適正かどうか。価格が明朗であり、透明性があり、柔軟性があるかどうか。
プロダクトバックログツールの主な検討事項
プロダクトバックログツールに求めれる主な機能を見ていくと、そのツールが DEEP をサポートできるアジャイル管理ツールと呼べるかどうかで判断ができる。DEEP とは以下の頭文字からなるものである。
適切な詳細事項(Detailed Appropriately)
プロジェクトのバックログアイテムには、さまざまな重要性がり、それに応じてリスト内のさまざまな場所に配置されている。例えば、バックログツールでは、スプリントプランニングを立てる際には、スプリント実行時の期日が近いサブタスクには、より詳細な情報を与え、期日がまだ先のアイテムには優先順位を付ける必要がなく、通常のペースで進められるようにしておけばよい。
見積もり可能(Estimated)
優れたプロダクトバックログツールは、バーンダウンチャートなどを提供し、プロダクト開発チームがプロジェクトの進捗状況や、依存関係、期日、労力、残りタスクを達成するために必要な時間などを可視化できる。優れたプロダクトバックログツールには、分かれ目を追跡する機能が必要となる。
創発的(Emergent)
アジャイルな環境下では、ものごとは常に変化している。このため、スクラムボードも状況の変化に合わせて変更していく必要がある。これが、優れたプロダクトバックログツールが、アジャイルフレームワークを促進するための創発的なスクラムツールを提供している理由である。
優先順位(Prioritized)
効果的なスクラムプロジェクト管理ツールでは、タスクボード上で、提供までの距離感に応じてアイテムに優先順位を付けることができる。優先されるサブタスクは、プロダクトオーナーが実装にゴーサインを出したものである。ユーザーストーリーやデイリースクラム、スプリントレトロスペクティブのフィードバックも、タスクボードで上位に置くべきタスクを決定するために不可欠な要素である。
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訳註: 本記事のリンクは、元記事のリンクにあるパラメータを削除して掲載しています。また、サーバントワークスは、manday.comとのパートナー契約に基づき、monday.com のリンクについてはリファラルリンクとなっております。[2021年10月5日に変更]
プロダクトバックログツール10選の概要
ここでは、プロダクトバックログに最適なツールを簡潔に説明している。それぞれのツールの優れた機能をスクリーンショットで紹介もしている。
Hygger
顧客フィードバックを優先するために最適なツール
Hygger の開発者は、研ぎ澄まされたカンバンプロジェクトバックログツールを作ることを目指したと語っている。実際には、最も需要なタスクと、進捗に制限があるタスクがハイライトされるようになっている。また、WIP(Work-in-Progress)機能により、チームが現在のタスクに集中できるようになっている。また、ストーリーポイントや時間を使ってタスクを見積もることができることで、チームのパフォーマンスに関するレポートを作成できる。
Hygger の価格は、スタンダードプランとエンタープライズプランで、それぞれ1ユーザーあたり、月額7ドル〜14ドルとなっている。ユーザーは、機能無制限で使用できるフリープランも選択することができる。
Microsoft Planner
プロダクトバックログツールの使用経験がないチームに最適なツール
Microsoft Planner は、プロダクトバックログツールの使用経験があまりない大小のチームのためのツールである。このツールの最大の利点は、Microsoft 365 のいち部分であることで、Power Automateや、SharePoint、To-Do との連携ができ、効率的なタスク管理を実現しているところだ。また、タスクの優先順位やステータスを自動的に可視化することができる。さらに、特定のタスクの状況をチームメンバーに伝えるレポートを作成できる。
Microsoft Planner は、Business(1ユーザーあたり、月額2〜20ドル)とEnterprise(1ユーザーあたり月額8〜60ドル)のパッケージがある。また、すべてのプロダクトに対して1ヶ月間の無料トライアルを提供している。
Planigle
オープンソースプロダクトバックログツール
Planigle は、顧客関係管理(CRM)を優先したツールを探しているスクラムチームのために設計されたツールである。このツールの開発者は、プロダクト開発チームをスピードアップさせるために必要なトレーニングとコンサルティングを提供している。これにより、チームはトレーニングに多くの時間を費やすことなく、重要なタスクに取り掛かることができる。
Planigle は、無料で利用できるオープンソースのツールである。しかしながら、より多くの機能が必要なチームには、プレミアムパッケージを1ユーザーあたり30ドル/四半期で購入することができる。
Yodiz
データからのインサイトの提供に最適なツール
Yodiz は、優れたプロダクトバックログツールに必要なすべての機能を備えた、スクラムマスターとチームのためのフルスイートを提供している。Yodiz は、チームがプランニング、コラボレーション、要求、デリバリー追跡、カスタマーサポート、分析を管理するために役に立つ。さらに、プロダクト開発に関する予測と意思決定を可能にする理解とインサイトをチームに提供する。
Yodiz は、1ユーザーあたり月額0ドル〜5ドルで利用できる。また、このツールの設計者は、セフルホスティングサービスも提供している。このサービスの費用は、要問合せである。
Backlog
高度なコラボレーションを必要とするチームに最適なツール
プロジェクト管理ツールは、プロセスを合理化し、ステークホルダーとのコラボレーションを容易にするものでなければならない。Backlog が得意とするこの機能により、開発者、クライアント、デザイナー、その他のチームメンバーをオンラインプラットフォーム上で結びづけることができる。つまり、プロジェクトに関わるすべての人が1つの参照元をもつことができるのである。
Backlog は、1ユーザーあたり月額0ドル〜175ドルである。エンタープライズプランは、20ユーザーまでで1,200ドルである。30日間の無料トライアルもある。
Monday.com
セットアップのしやすさで最適なツール
プロダクトバックログツールが、プロセスを合理化し、チームの作業をより管理しやすくすることを約束するのであれば、最初からそれに応えてくれるものでなければならない。Monday.com の最大の特徴は、セットアップが簡単なため、使い始めて数分でチームが動き出すことができる。また、データの可視化、自動化、既存ツールとの統合など優れたプロダクトバックログツールに求められる機能も備えている。
Monday.com の利用料金は、1ユーザーあたり月額8ドル〜16ドルである。また、2人までの無料プランも用意してある。エンタープライズグレードの機能が必要な場合、問い合わせが必要である。
Teamwork
シンプルに使えるツールを必要としているチームに最適なツール
スクラムを採用しているプロダクト開発チームには、技術者であろうとなかろうと、簡単に使えるプロダクトバックログツールが必要となる。このツールの開発者は、そのことを意識しているようである。プロジェクトやタスクの作成、ファイルのアップロード、コメントの追加などが簡単にできるツールである。複雑なプロジェクトを管理するための高度な機能を備えている一方で、チームがワークフローをカスタマイズできるような柔軟性を備えている。
Teamwork の価格は、1ユーザーあたり月額10ドル〜18ドルである。小規模なチームにおける個人顧客に対しては、「Free Forever(永久無料)」パッケージを利用できる。エンタープライズ顧客にはオーダーメイドのパッケージも用意している。
Clubhouse
ユーザーストーリーからロードマップにつなげるのに最適なツール
Clubhouse のデザイナーは、プロダクトの開発と提供を成功させるには、チームがさまざまなワークスペースでプロジェクトの多くの部分をバランス良く行う必要があるという認識に基づいてこのツールを開発した。その結果、チームが計画、作成、共同作業、計測、実験を行うことができるツールが誕生した。また、このツールは、Slackや、GitHub などの他のツールとも連携ができる。
Clubhouse の標準パッケージでは、1ユーザーあたり月額8ドルとなっている。エンタープライズの顧客には、営業チームへの連絡によりカスタムパッケージを購入できる。小規模チーム向けでは永久に無料で利用できる。
YouTrack
高い柔軟性を求めるチームに最適なツール
プロダクト開発チームは、既存のテンプレートを用いて作業をする必要が多くあり、そのためにプロセスをプログラムに合わせなければならない。YouTrack の開発者が完全にカスタマイズ可能なツールでかいけつしようとしている課題であり、独自のプロセスに合わせたツールを提供している。このツールは、スプリントやリリースの計画、タスクやプロジェクトの追跡、アジャイルボード、ナレッジベースの作成、レポート作成など、チームを支援するように設計されている。
YouTrack の価格は、1ユーザーあたり月額3.67ドルである。この価格は、チームメンバーが増えるほど値下がるようになっている。1人から10人までのチームには、生涯無料のサブスクリプションを提供している。
Productboard
顧客中心のプロダクトバックログ管理ツール
プロダクトの成功は、顧客のニーズを満たすことができるかどうかで評価されることになる。したがって、プロダクトバックログツールは、顧客ニーズを強調し、それに優先順位を付ける必要がある。Productboard はこれを目指している。このプロダクトは、オープンプラットフォーム上に構築されているため、柔軟で包括的な機能を備えている。また、統合、インサイト、優先順位付け、ロードマップなどプロダクト開発チームが必要とするすべての機能を備えている。
Productboard の価格は、メーカー1社あたり月額20ドル〜100ドルである。エンタープライズ顧客は、カスタムパッケージを要求できる。チームで利用する場合は、15日間の無料トライアルがある。
その他のプロダクトバックログオンラインツールの選択肢
ここでは、トップリストに入らなかったツールのうち、いくつかを紹介しておく。
- Notion – 異なる会社のユニットをつなぐのに最適なツール
- Scoro – プロジェクト管理の効率化に最適なツール
- Miro – リモートワークチームに最適なツール
- Hansoft – 実世界のデータに基づいた意思決定に最適なツール
- Product Management Dashboard for Jira – フリーランサーに最適なツール
- ClickUp – フリーのプロダクトバックログツール
- Aha! – プロダクトバックログの可視化に最適なツール
- Wrike – カスタムダッシュボードやチームごとの自動化に最適なツール【日本語版あり】
- Roadmunk – 顧客フィードバックの収集に最適なツール
- Airfocus – サブタスクの優先順位付けに最適なツール
- Asana – 依存関係のあるタスク、重複するタスク、予定外のタスクの管理に最適なツール【日本語版あり】
- Harvestr – フィードバックを一箇所にまとめるのに最適なツール
- Craft.io – ユーザーストーリに基づいた戦略の作成に最適なツール
- Trello – フリーかつ容易に使えるツール
- Confluence – 既存のテンプレートが必要なチームに最適なツール【日本語版あり】
- ProWorkflow – タスクの割り当て、時間管理に最適なツール
- Canny – プロダクトのフィードバックを収集・整理・管理に最適なツール
- StoriesOnBoard – ストーリーマッピングに最適なツール
プロダクトバックログを定義する方法
プロダクトバックログとは、スクラムチームが取り組んでいるタスクの中心となる順序立てられたリストのことである。このリストには、顧客やプロダクトオーナーの要求を満たすプロダクトを提供することに関連するすべての要素が含まれている。これには、既存機能の変更、新規機能、インフラの変更、バグ修正などが含まれる。
よく混同されるが、プロダクトバックログとスプリントバックログは異なるものである。前者はプロダクト開発全体のゴールを示すものである。後者は、特定のスプリントで完了するサブタスクに焦点をあてたものである。
プロダクトバックログをメンテナンスする方法
プロダクトバックログの管理方法を学びたい場合、まずは使いやすいプロ仕様のツールを選ぶことが重要である。プロダクトバックログツールは、プロダクト開発を効率的に進めるために必要な労力を軽減するために用いられる。そのため、プロダクトバックログ管理では、プロセスを自動化するツールを選択することから始める。
ほとんどの作業を代行してくれるプロダクトバックログツールを手に入れるだけでなく、適切なプロダクトビジョンからはじめ、他のチームメンバーと常にコラボレーションし、プロダクトバックログを維持するためのグルーミングミーティング(訳註: リファインメント)を手配する必要もある。
プロダクトバックログリファンメント
通常、プロダクトバックログでの最上位の優先順位にあるタスクは、締め切りが近いタスクになる。これらのタスクは、優先順位の低いタスクよりも詳細な情報を持ち合わせている。下位のタスクは、締め切りが近づくにつれて詳細が追加されていく。このプロセスは、プロダクトバックログリファインメントと呼ばれる。上記のアイテムであっても、プロダクトのライフサイクルの中で状況が変化すれば、いつでも修正する。
プロダクトバックログリファインメントの実施者
スクラムチームは、プロダクトオーナーのリーダーシップのもと、プロダクトバックログリファインメントに責任を持っている。スクラムミーティングでは、プロダクトオーナーが、リファインメントが必要な PBI を提示する。スクラムチームは、その PBI を議論し、それに応じてプロダクトバックログを洗練していく。
プロダクトバックログのためのツールについてどう思うか?
あなたのチームは、この記事で紹介したプロダクトバックログツールを使ったことがあるだろうか?使ったことがあれば、そのツールについてどのような印象を持っているだろうか?プロセスが改善されたと思うだろうか?あなたの意見を聞かせてほしい。このような記事をもっと見たいならば、「The Product Manager」ニュースレターを購読してほしい。
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本記事の翻訳者:
長沢 智治 – アジャイルストラテジスト
サーバントワークス株式会社 代表取締役。Helpfeel Inc. アドバイザリーボード。DASA アンバサダー/認定トレーナー。
『More Effective Agile』、『Adaptive Code』、『今すぐ実践!カンバンによるアジャイルプロジェクトマネジメント』、『アジャイルソフトウェアエンジアリング』など監訳書多数。『Keynoteで魅せる「伝わる」プレゼンテーションテクニック』著者。
Regional Scrum Gathering Tokyo 2017, DevOpsDays Tokyo 2017, Developers Summit 2013 summer 基調講演。スクー講師。