本記事は、Stefan Wolpers さんによる「Four Scrum Master Success Principles」の翻訳です。翻訳・公開は、Stefan さんの許諾を得ています。誤字脱字・誤訳などありましたらぜひご指摘ください。
スクラムマスターが機能するための4つの原則
一般的な考えとは逆に、外部からの視点で分析していくことで、スクラムマスターの成功原則が具体的に見えてきます。
この投稿では、スクラムマスターの4つの成功原則を紹介します。スクラムにまだ取り組んでいないときから、プロダクトの品質、プロダクトオーナーの支援、自己管理を中心に据えているところまでカバーします。
ステークホルダーの期待に応える
スクラムチームにとってのステークホルダーがどれほど多様であったとしても、彼らとはひとつの期待で結びついています。スクラムチームは、単一のスプリントごとに完成して、リリース可能な価値のあるプロダクトインクリメントをデリバーします(それはスイスの時計のような正確さで)。
経験上、4つの原則が、スクラムマスターを手助けしてくれることで、チームがこの期待に応えられるようにスクラムマスターは、支援することができるようになります。
目的に応じてスクラムを選択する
スクラムができした適応領域を選択することが重要になります。Stacey Matrix を参照するとすれば、「カオス(Chaos)」と「単純(Simple)」の領域でスクラムを適用するのはムダになります。スクラムは「複雑(Complex)」の領域で適用するのが最適です。ここでは、経験的プロセス制御が活かせます。透明性、検査、適応を用いて、価値のあるプロダクトインクリメントを反復的かつ漸進的に開発し、リスクを軽減することができます。
高いプロダクト品質を追求する
最初から技術的負債を小さくし、高いプロダクト品質に継続的に取り組めるようにスクラムチームの「完成の定義」に反映します。ビジネスのアジリティを達成するためには、プロダクト品質へのこだわりと、技術レベルの洗練が必要となります。
詳しくは、「Technical Debt & Scrum; Who is Responsible?」も合わせて読んでください。
実用的なプロダクトバックログを作成し、維持する
ガベージイン、ガベージアウト: スクラムチームがどんなに他の全てのことに優れていたとしても、標準を下回るようなプロダクトバックログでは、他の全てのチームの達成結果よりも劣ることにつながります。従って、プロダクトオーナーと開発者によって恒久的に「実用的な」プロダクトバックログを維持することを支援することが最善となります。「実用的な」とは、スクラムチームが有意義なスプリントプランニングをすぐに実行できるくらいに、プロダクトバックログをリファインメントし、洗練されたレベルを指します。
詳しくは、「28 Product Backlog and Refinement Anti-Patterns」も合わせて読んでください。
自己管理を受け入れ、スクラムチームに導入する
チームメイトが自分たちで解決できる問題を(スクラムマスターが)解決しないようにしましょう。役に立つということは気持ちがいいことですが、スクラムマスターとしての仕事は、すべての問題においてチームを手助けすることではありません。むしろ、自己管理できることを最優先し、全員がスクラムの価値基準を実践するようにすべきです。根っからのサーバントリーダーであり、スクラムチームのよきロールモデルとなることを目指しましょう。
すべてのスケッチは、以前までの Professional Scrum Master 研修でのものです。最新の研修スケジュールはこちらをご覧ください。
まとめ
スクラムマスターの成功原則を見極める際には、外部からの視点を持つことが役に立ちます。例えば、スクラムチームの仕事に関してみんなが期待していることを一文でまとめるとしたら、次のようになるでしょう。「スクラムチームは、スイスの時計のような正確さで、単一スプリントごとに完成した、リリース可能な価値のあるプロダクトインクリメントをデリバーする」
スクラムマスターとして、どのような原則に基づいて仕事をしていますか?あなたの学びを教えてください。
本記事の翻訳者:
長沢 智治 – アジャイルストラテジスト
サーバントワークス株式会社 代表取締役。Helpfeel Inc. アドバイザリーボード。DASA アンバサダー/認定トレーナー。
『More Effective Agile』、『Adaptive Code』、『今すぐ実践!カンバンによるアジャイルプロジェクトマネジメント』、『アジャイルソフトウェアエンジアリング』など監訳書多数。『Keynoteで魅せる「伝わる」プレゼンテーションテクニック』著者。
Regional Scrum Gathering Tokyo 2017, DevOpsDays Tokyo 2017, Developers Summit 2013 summer 基調講演。スクー講師。