翻訳記事

本記事は、Steve Trapps さんの「Who Should be Doing What in a Sprint?」の翻訳です。翻訳にあたり、Steve さんのご快諾をいただいております。誤字脱字、誤訳がありましたら、ぜひご指摘ください。

スプリントでそれぞれの役割は何をすべきか?

スプリントで、それぞれの役割は何をするべきでしょうか?

最近、尋ねられました。

そこで、私は、最新の『スクラムガイド』(2017年11月)を持ってきて、それを(もう一度)読みました。そして、彼らとこの記事を読んでいるあなたのために、『スクラムガイド』を深掘りしてみました。

このあとに挙げていく項目は、『スクラムガイド』(2017年11月)からの直接の抜粋です。したがって、期待しているよりも漠然としていたり、規定が少なく見えたりするかもしれません。スクラムはフレームワークなので、チームがスクラムのイベントにおいて追加の作業をしているかもしれません。それは、チームが行動から価値を得ているのであれば問題ではありません。

これが、あなたの役に立つことを願っています。また、内容の確認をしてくれた PST の Rich Visotcky に感謝します。

訳註: PSTとは、Professional Scrum Trainer のことです

  • スプリント期間中
  • スプリントプランニング中
  • デイリースクラム中
  • スプリントレビュー 中
  • スプリントレトロスペクティブ中

スプリント期間中

プロダクトオーナー

プロダクトオーナー
  • プロダクトバックログアイテム(以下、PBI)を明確に表現する
  • ゴールとミッションを最大限に達成するために、PBI を並べ替える
  • 開発チームが行う作業の価値を最適化する
    • 顧客との対話する
    • ステークホルダーにインタビューする
    • マーケットからのフィードバックを収集する
    • その他
  • プロダクトバックログが誰にでも見えるようにし、透明性があり、明確であること確保し、スクラムチームが次に何に取り組むのかを示す
  • 開発チームが PBI について必要なレベルまで理解できるようにする
  • スコープを明確にし、多くのことが学べるように、プロダクトオーナーと開発チームで再交渉を行う
  • スプリントゴールが古くなった場合、スプリントを中止できる
  • インクリメントのリリースを決定する
  • スクラムの価値基準を体現する

開発チーム

開発チーム
  • 多くのことを学べるようにスコープの明確化と再交渉を行う
  • プロダクトインクリメントを開発する
  • 問題になることを提起する
  • スプリントの現状を踏まえた検査と適応のアプローチを行う
  • お互いの行動に説明責任を持つ
  • スクラムの価値基準を体現する
  • 自己組織的かつ機能横断的になる

スクラムマスター

スクラムマスター
  • 『スクラムガイド』に定義してあるようなスクラムを推進と手助けをする
  • スクラムイベントをファシリテートする(要請されたか、必要に応じて実施する)
  • スクラムの価値基準を体現する
  • ゴール、スコープ、プロダクトのドメインをスクラムチーム全員が理解しているか確認し、可能な限りそうなるようにする
  • プロダクトオーナーを支援する:
    • 効果的なプロダクトバックログの運営のためのテクニックを見つけ出す
    • スクラムチームが明確で簡潔な PBI の必要性を理解することを手助けする
    • 経験的な環境下でプロダクトプランニングすることを理解する
    • プロダクトオーナーが価値を最大化するためにプロダクトバックログをどうアレンジするか知っているのかを確認する
    • アジリティについて理解し、実践する
  • 開発チームを支援する:
    • 開発チームが自己組織化と機能横断的になるようコーチングする
    • 開発チームが高い価値のあるプロダクトを開発できるよう手助けする
    • 開発チームの進捗を妨げる妨害要因を取り除く
    • スクラムイベントをファシリテートする(要請されたか、必要に応じて実施する)
    • スクラムがまだ十分に導入や理解がされていない組織の環境での開発チームをコーティングする
  • 組織を支援する:
    • スクラムの導入において組織をリードし、コーチングする
    • 組織的なスクラムの実践についてプランニングする
    • 社員やステークホルダーがスクラムや経験的なプロダクト開発を理解し、実行できるように手助けする
    • スクラムチームの生産性が向上するような変化を起こす
    • 他のスクラムマスターたちと連携し、組織内でのスクラムの効果性を高める

スプリントプランニング中

プロダクトオーナー

プロダクトオーナー
  • スプリントが達成すべき目標とそのスプリント内で完了した場合にスプリントゴールを達成するであろう PBI について説明する
  • 選択した PBI を明確にし、トレードオフを行うことを支援する
  • スプリントゴールを作る

開発チーム

開発チーム
  • そのスプリント期間中に開発する機能の予測を立てる
  • 開発チームが作業量が多すぎたり、少なすぎたりと判断した場合、選択できる PBI をプロダクトオーナーと再交渉する
  • そのスプリント中にこの機能をどのように「完成」したプロダクトインクリメントに組み込むかを決定する
  • スプリントゴールを達成でき、予測したインクリメントを開発するために、自己組織化チームとしてどのように作業するつもりなのかをプロダクトオーナーとスクラムマスターに示す
  • PBI の規模を見積もる
  • スプリントゴールを作る

スクラムマスター

スクラムマスター
  • スプリントプランニングをファシリテートする(要請されたか、必要に応じて実施する)

デイリースクラム中

開発チーム

開発チーム
  • これからの24時間の作業の計画を立てる
  • スプリントゴールへの進捗を検査し、スプリントバックログの作業完了に向けた進捗状況がどうなのかを傾向を見る
  • スプリントゴールを達成するために自己組織化チームとしてどのように協働しているか、スプリントの終わりまでに予測したインクリメントを開発できるのかを理解する
  • デイリースクラムの実施責任を持つ

スクラムマスター

スクラムマスター
  • デイリースクラムをファシリテートする(要請されたか、必要に応じて実施する)

スプリントレビュー中

プロダクトオーナー

プロダクトオーナー
  • スプリントレビューに関係者を招待する
  • 「完成」している PBI と「完成」していない PBI を説明する
  • 現場のプロダクトバックログについて議論する。これまでの進捗経過に基づいて、ターゲットと期日の可能性を予測する
  • プロダクトバックログの更新がありえるため、ステークホルダーからのフィードバックを得る

開発チーム

開発チーム
  • スプリント中で何がうまくいったのか、どのような問題があるのか、それらはどう解決できたのかを議論する
  • 「完成」した作業についてデモンストレーションし、そのインクリメントに関する質疑応答をする

スクラムマスター

スクラムマスター
  • スプリントレビューをファシリテートする(要請されたか、必要に応じて実施する)

スプリントレトロスペクティブ中

プロダクトオーナー

プロダクトオーナー
  • 次のスプリントに向けて、最低1つの継続的な改善アイデアを作る
    • ピア参加者として活動し、過去のスプリントから相互作用やプロセスを透明にする

開発チーム

開発チーム
  • 次のスプリントに向けて、最低1つの継続的な改善アイデアを作る

スクラムマスター

スクラムマスター
  • スプリントレトロスペクティブをファシリテートする(要請されたか、必要に応じて実施する)。
  • ミーティングがポジティブで生産的なものになるように心がける
  • タイムボックス内に収めることについて全員に指導する
  • スクラムのプロセスにおける説明責任者としてピアチームメンバーとしてミーティングに参加する
  • スクラムのプロセスフレームワークに則り、次のスプリントに向けて、スクラムチームが、より効果的で楽しいものになるように開発プロセスやプラクティスを改善するように促す

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本記事の翻訳者:

長沢智治

長沢 智治 – アジャイルストラテジスト

  • サーバントワークス株式会社 代表取締役
  • Agile Kata Pro 認定トレーナー
  • DASA 認定トレーナー

認定トレーナー

DASAプロダクトマネジメント認定トレーナー
DASA DevOpsファンダメンタル認定トレーナー

認定試験合格

Professional Scrum with User Experience
PAL-EBM
Professional Scrum with Kanban
Professional Scrum Product Backlog Management Skills
Professional Scrum Facilitation Skills
Professional Product Discovery and Validation
Agile Kata Foundation
DASA Product Management
DASA DevOps Fundamentals

『More Effective Agile』、『Adaptive Code』、『今すぐ実践!カンバンによるアジャイルプロジェクトマネジメント』、『アジャイルソフトウェアエンジアリング』など監訳書多数。『Keynoteで魅せる「伝わる」プレゼンテーションテクニック』著者。

Regional Scrum Gathering Tokyo 2017, DevOpsDays Tokyo 2017, Developers Summit 2013 summer 基調講演。スクー講師。

プロフィール