本記事は、Barry Overeem さんによる「A Guide To Explore The Core Principles Of Columinity For Ethical Use」の翻訳です。翻訳・公開は、Barry さんの許諾を得ています。誤字脱字・誤訳などありましたらぜひご指摘ください。
この記事は、「アジャイルチームの効果性のためにColuminityを正しく用いるための基本原則とその探究ガイド」の中編となります。前編、そして後編と合わせてご覧ください。
はじめに
最新の学術研究に基づいたColuminity(旧Scrum Team Survey)は、チームが最も重要な部分を改善するための先駆けとなるツールです。これは、継続的な改善をするためのエビデンスに基づいた手引きといえます。複数のレベルでパフォーマンスのパターンを明らかにし、前に進めていくための方法を示します。
Columinity を最大限に活用するための5つのステップを定義しました。
- 研究を学ぶ
- 原則を探る
- キックオフをファシリテートする
- 結果を検査する
- 戦略を策定する
以下の手順に沿ってツールをうまく使いこなしてください。
この記事では、ワークショップ「Columinityの倫理的利用に対する基本原則の探究」について解説します。ツールの基本原則を理解することで、強力な基盤を築くことができます。チームや組織がツールを最大限に活用し、共通理解を築き、明確な見通しを設定するのに役立てます。
この記事では、前編に続き、中編として原則4〜6を探求しています。
#4. 明確な目的とキックオフの共有から始めよ
この原則が重要な理由
- 共通の目的を設定できる
明確な目的を設定することで、関係者全員がツールの意図するゴールを理解することができます。そのツールを導入する理由、期待できるアウトカムを共通理解できるのです。 - 強固な土台となる
ツールの目的を明確に定義することで、組織全体で効果的なコミュニケーションが可能になります。目的が明確に定義でき、共有されることで、混乱や抵抗、懐疑的な見方が減ることで適用が成功する可能性が高まっていきます。 - エンゲージメントが高まる
キックオフに参加することで、チームはツールを受け入れられ、フィードバックを出し、その適用に能動的に参画しやすくなります。そして、チームの自分事となり、価値があると感じることができます。さらに導入が成功するようにとオーナーシップと責任感が生じます。
この原則をどのように実践するか
- まずキックオフを行なう
チーム、ステークホルダー、支援者と協力して、Columinityの目的を明確にし、原則、参画、構造、実践方法を見つけ出すことに取り組みます。 - キックオフの時間を確保する(訳者が追加)
キックオフには十分な時間を取るようにします。会話を急かしてはいけません。キックオフをしっかり行なうことで土台が固まり、調査の成功率が高まります。 - 学習する意欲(訳者が追加)
キックオフのファシリテーションをどのように行なうかを組織ないの多くの人に学んでもらいます。これによって、いつもの人たちへの依存度合いを最小限に抑え、エンゲージメントを高めることができます。
#5. プロセスの中心にチームを据えよ
この原則が重要な理由
- ツールのオーナーシップを促せるようになる
チームに理想的なプローチを選択する自由を与えることで、新しいツールに対するオーナーシップとエンゲージメントの意識を持たせることができます。これにより、より多くの参加意識につながり、より質の高いデータとより良いアウトカムがもたらされることになります。 - オーダーメイドの対策がでてくる余地が生まれる
組織内のチームには、それぞれツールの利用によって得られる影響にそれぞれ独自の特徴が出てくるかもしれません。チームが自分たちに合ったアプローチを選択できれば、特定のチームのニーズに合わせてカスタマイズすることもできるようになります。このような柔軟性によって、調査ツールは既存のプロセスやプラクティスに沿ったものになり、チームにとってより適切で価値があるものになるのです。 - コラボレーションが促される
チームによって調査の効果を最大化するためのさまざまな戦略を実験することができるようになります。チームはお互いの経験から学ぶことで、ベストプラクティスを特定し、アプローチを洗練させることができるようになります。
この原則をどのように実践するか
- 最初からチームを巻き込むようにする
調査でチームを驚かせてはいけません。どのような調査が自分たちに合っているのかをチームに聞くようにしましょう。 - 今のプロセスに調査方法を統合させる
各チームと共に取り組み、現在のプロセスに調査方法を統合するようにします。追加で(別の)ミーティングをしないようにすべきです。スプリントレトロスペクティブ、スプリントレビュー、その他のイベントなどと調査を組み合わせてみるようにしましょう。
#6. ステークホルダーと支援者を巻き込め
この原則が重要な理由
- ステークホルダーは貴重なインサイトをくれる
ステークホルダーからは、チームからどれだけの価値を受け取れ、リリースの頻度、品質、提供された機能などにどれだけ満足できているかを共有してもらうことができます。これは、チームが改善すべき大事なところを見つける不可欠な情報となります。 - マネージャー、リーダー、コーチは障害物を取り除く手助けをしてくれる
この調査によって、チームがどこで行き詰まっているのか、支援が必要なのかを知ることができます。チームは支援者たちと共に、障害物となっているものが何かを区別し、明確にし、まず何に取り組むべきかを理解することができるようになります。支援者はその知識、ネットワーク、権限を効果的に活用することで、障害物を取り除くことができるからです。 - 組織的な目標との整合性がとれる
新しいツールの導入にステークホルダー、特にマネージャーを巻き込むことで、そのツールが組織の広範囲にわたる目標や価値基準に合致していることを確認できるようになります。チームと組織の両方のレベル感で、意思決定に役立つ関連データとインサイトを収集するために調査をどうカスタマイズすべきかを助言することができるようになります。
この原則をどのように実践するか
- チームがステークホルダーを見つける支援をする
ほとんどのチームではステークホルダーを見つけることは非常に難しいことです。自分たちのステークホルダーをよく知らなかったり、実際のステークホルダーではない人たちと協働していたりすることもあるからです。 - チームが支援者を見つける支援をする
支援者とは、チームの取り組みを支援する(または、すべき)組織のマネージャー、小0地、リーダーのことです。 - チームにステークホルダーと支援者と共に取り組むように促す
チームにステークホルダーや支援者を誘ってツールを一緒に使うように促します。チームが彼らを誘うことに消極的な場合は、その理由を探り、一緒に取り組むことで彼らの恐怖心を減らすようにします。
後編に続く
原則7〜10については、後編をご覧ください。
原則1〜3については、前編をご覧ください。
本記事の翻訳者:
長沢 智治 – アジャイルストラテジスト
サーバントワークス株式会社 代表取締役。Helpfeel Inc. アドバイザリーボード。DASA アンバサダー/認定トレーナー。
『More Effective Agile』、『Adaptive Code』、『今すぐ実践!カンバンによるアジャイルプロジェクトマネジメント』、『アジャイルソフトウェアエンジアリング』など監訳書多数。『Keynoteで魅せる「伝わる」プレゼンテーションテクニック』著者。
Regional Scrum Gathering Tokyo 2017, DevOpsDays Tokyo 2017, Developers Summit 2013 summer 基調講演。スクー講師。