この記事では、2010年前後より図示し、さまざまな講演や資料で私自身も用いていますが、他の方々からも提案書や研究成果(論文などにも)、ガイダンス資料などでも引用されている「ビジネスとITの関係図」を2040年代までの展望に更新をしたので、現時点での展望を紹介したいと思います。

ビジネスとITの関係図

この図は、節目節目で更新をしています。記憶が確かならば、2011年秋に開催された日経主催のx-over Development Conference (XDev) が講演の中で言及した一番最初だったはずです。その後は、日本マイクロソフトのプロダクトマネージャー時代には、マイクロソフトのサイトでも図を利用した特設ページを開設するなどもしました。

ビジネスとソフトウェアの関係図(2011)
日経 XDev での発表資料より

2011年から2020年までの資料をみるとこのような感じで更新したり、要素を追加・削減して使っていました。

2030年代の展望

2020年代もスタートしたこともあり、2021年には、2030年の展望を表現するようになりました。

ビジネスとIT(2020)
ビジネスとIT(2020sまで)
ビジネスとIT(2030sまで)

「ITが自然に」なるというのは、社会基盤の築くにあたったITやテクノロジーを活用するのは当たり前の選択肢として、アナログかデジタルかではなく、よりよい社会の形成に溶け込んでいるはずであるということを示してみました。

この世界観の枠組みというのは、「バブル」状のものであり、それらは、産業や社会課題、問題領域に依存しているかもしれませんし、また新たな世界秩序に基づくものかもしれません。

そのバブルの世界観では、ビジネスがITを活用するとか、ITがコアコンピテンスでありそこからビジネスを生み出していくでもなく、それぞれのビジネス、それぞれのIT、どちらが先でも後でもよく、よりよい社会形成のために自然とインテグレートしていくと考えます。したがって、どこかの会社に閉じていることはあまりなく、独占されるものでもないと考えられます。独占することは体力勝負であり、体力が衰えた時点で社会から採用されなくなり衰退していくことにつながるのでないでしょうか。

2040年代の展望

2040年代というのは、2030年代を「ITは社会基盤」と書いてしまったから10年おきということで便宜上設定していますが、2030年代の延長線上として、「ITは社会変革」に当たり前のものになっているはずです。言い換えれば、社会変革の中にITは常に溶け込んでいるものになっていると考えます。

その状況では、メタバースやDAO(分散型自律組織)の進展とともに、小さな社会であるバブル(=宇宙)が多数登場すると見ており、さらにその小さな社会(バブル)がやがて侵食し合うことになるだろうとみています。

侵食しあった結果として、バブルが融合し、またはバブルが弾けることで、そこに新しいビジネス、新しいテクノロジーが創発されることになるのではないでしょうか?それらはおそらくまだ見ていないビジネスの形であり、テクノロジーの形であると思っています。少なくとも今の私にはまだ想像ができない形で生み出されていくとみています。

それは、Multi Meta-verse Incursion とでも称してみましょうか。

インカージョンが起こることで、新たなる世界秩序と共に、新たなるビジネスモデルや、テクノロジーが創発されていくので、今はそれがどんなものなのかを描ける人はいないのではないかと想像しています。20数年前には今のようなネット社会、ソーシャルな社会、非同期な社会が想像できなかったようにです。

ビジネスとIT(2040)
ビジネスとIT(2040sまで)

意見交換

関心を持っていただいた方、ぜひ意見交換いたしましょう。

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